名画座の最終回や深夜の上映、ビデオ店の隅の棚で出会う映画を集めました。観客が一緒に叫ぶ映画、あまりに下手で愛された映画、観た人の記憶の中にしか残っていない映画。エログロ系の映画は「エログロナンセンス」の分類にも収めています。
公開年は本国での初公開の年です。日本での公開年や題名が異なるものがあります。
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第一部真夜中の映画
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1970年代のニューヨークで、『エル・トポ』などを深夜0時から繰り返し上映して若者を集めた興行。『ピンク・フラミンゴ』『イレイザーヘッド』などもこの枠で長く上映され、カルト映画という言葉の土台になった。
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舞台のミュージカルを映画化した作品。公開時は不入りだったが、深夜上映で観客が扮装し、台詞に合いの手を入れ、米や紙吹雪を投げる参加型の儀式が生まれ、半世紀近く上映が続いている。
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映画監督、バンド・デシネの原作者、タロットの研究者。『エル・トポ』と『ホーリー・マウンテン』が深夜上映で熱狂的な支持を集めた。晩年も家族とともに映画を撮り続けた。
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キリストに似た男が、錬金術師に導かれ、不死の秘密を持つ賢者たちの山を目指す。タロットや神秘主義の象徴を画面いっぱいに詰め込んだ、極彩色の寓話。
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1970年代、ホドロフスキーがメビウス、ギーガー、ダリらを集めて準備しながら、ついに撮られなかった『デューン』の映画化の顛末を追った記録映画。分厚い絵コンテ集は、その後のSF映画に影響したとされる。
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巨大な青い人種ドラーグが、小さな人間オムをペットとして飼う惑星の物語。ローラン・トポールの原画をもとにした切り絵のアニメーションで、奇妙な生き物と風景が淡々と描かれる。
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モスクワの男二人が、砂漠の惑星プリュクに飛ばされるソビエトのSF喜劇。住人はほとんど「クー」という言葉だけで会話し、マッチ棒が最高の財産になっている。
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謎の人物トミー・ウィゾーが私財で監督・主演した恋愛映画。脈絡のない台詞と展開から「史上最悪の映画」と呼ばれ、観客がスプーンを投げる深夜上映の名物になった。
第二部愛すべき失敗作と見世物
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低予算の映画を撮り続けた監督。死後、『プラン9・フロム・アウタースペース』が「史上最低の映画」に選ばれたことで逆に人気を集め、ティム・バートンの伝記映画『エド・ウッド』(1994年)も作られた。
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宇宙人が死者を蘇らせて地球を征服しようとする映画。撮影前に亡くなったベラ・ルゴシが生前に残したわずかな映像を使い、残りは顔をマントで隠した別人が演じるなど、ほころびだらけの画面が愛されている。
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エド・ウッドとその仲間たちを、愛情を込めて描いた白黒の伝記映画。ジョニー・デップがエドを演じ、晩年のベラ・ルゴシを演じたマーティン・ランドーはアカデミー助演男優賞を受けた。
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仕掛けで客を呼んだホラー映画の興行師。上映中に客席の上を骸骨が飛ぶ『地獄へつづく部屋』、座席を震わせる『ティングラー』など、映画の外側で観客を驚かせることに情熱を注いだ。
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恐怖を感じると背骨に取りつく生き物の映画。上映館の一部の座席に振動装置を仕込み、観客が叫ぶ場面で座席を震わせた。キャッスルはこれを「パーセプト」と名づけた。
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数日で撮り終える低予算映画を数百本も製作した「B級映画の帝王」。『リトル・ショップ・オブ・ホラーズ』(1960年)は2日で撮ったと言われる。コッポラやスコセッシら多くの監督が彼の下から巣立った。
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人の血を欲しがる植物を育ててしまった花屋の青年の話。わずか2日ほどで撮影したと伝えられる。のちにミュージカルになり、1986年に再び映画化された。
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ロイド・カウフマンらが作った独立系の映画会社。放射能廃棄物で怪物になった青年の『悪魔の毒々モンスター』(1984年)をはじめ、悪趣味で下品な低予算映画を作り続けている。
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いじめられっ子の青年が有毒廃棄物のドラム缶に落ち、醜い怪力のヒーローになる。トロマの看板作品で、続編やアニメ、ミュージカルまで作られた。
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世界の奇習や残酷な風景を、ドキュメンタリーを装って見せる映画。『世界残酷物語』(1962年)の原題『モンド・カーネ』から名がついた。演出や捏造が多く混じっていることでも知られる。
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世界各地の奇習や残酷な光景を集めたドキュメンタリー。「モンド映画」という呼び名はこの原題から生まれた。演出ややらせも混じっていた。主題歌「モア」はヒットした。
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ビデオの普及とともに出回ったホラー映画を、イギリスの新聞が「ビデオ・ナスティ」と呼んで攻撃した騒動。検察が作った72本の起訴対象リストは、のちに皮肉にもホラー愛好家の収集目録になった。
第三部日本の異端の映画
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精神病院を舞台にした無声映画。川端康成ら新感覚派の作家が加わり、字幕を一切使わずに、幻想と現実が入り混じる映像だけで物語を進めた。長くフィルムが失われたと思われていたが、1971年に監督の自宅で発見された。
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東宝の労働争議から分かれて生まれた映画会社。経営を立て直した大蔵貢のもとで、『地獄』『東海道四谷怪談』などの怪談映画や、扇情的な題名の娯楽作を量産した。
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嵐で無人島に流れ着いた若者たちが、食べると体がキノコになってしまう「マタンゴ」の誘惑に一人ずつ屈していく東宝の怪奇映画。原作はW・H・ホジスンの短編。
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墜落した旅客機の乗客たちが、宇宙から来たアメーバ状の生命体に次々と乗っ取られていく松竹の怪奇映画。額が縦に割れて生命体が入り込む場面と、真っ赤な空が強い印象を残した。
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日本アート・シアター・ギルド。海外の芸術映画の配給から始め、のちに1000万円の低予算で独立系の監督と共同製作した。大島渚、寺山修司、松本俊夫、実相寺昭雄らの作品を送り出した。
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ウルトラマンの監督としても知られる実相寺昭雄が撮った、姉と弟の禁じられた愛の物語。極端なアングルの映像が特徴で、ロカルノ国際映画祭で金豹賞を受けた。
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夏休みに叔母の屋敷を訪れた7人の少女が、家そのものに一人ずつ食べられていく。CM出身の監督が、合成や手描きの効果を詰め込んで作った、悪夢のように明るいホラー映画。
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元日本兵の奥崎謙三が、戦地ニューギニアで起きた部下の処刑の真相を追い、元上官たちの家を訪ねて問い詰めるドキュメンタリー。暴力も辞さない奥崎の姿をカメラが追い続けた。
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暴走族の抗争を、近未来の荒廃した街を舞台に描いた映画。当時大学生だった監督の卒業制作から劇場公開に至り、日本のパンク映画の原点とされる。
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マネキンを愛する青年と、大阪の街の片隅で生きる人々を、モノクロームで描いた自主映画。その過激さから上映の場が限られたが、東京の小さな映画館で繰り返し上映され続けた。
第四部実験映画とアニメーション
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夢遊病者を操って殺人を犯させる博士の物語。書き割りの歪んだ建物や、壁に描かれた光と影によって、狂人の目に映る世界をそのまま画面にした、ドイツ表現主義映画の代表作。
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ルイス・ブニュエルとサルバドール・ダリが、互いの夢を持ち寄って作った17分ほどの短編。冒頭、剃刀で女性の眼球が切り裂かれる場面は、映画史で最も有名な衝撃の一つとされる。
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第三次世界大戦後の地下で、過去へ送り込まれる男の物語を、ほとんど静止写真だけをつないで語る約28分の短編。のちに『12モンキーズ』の原案になった。
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エンパイア・ステート・ビルを、固定したカメラで8時間以上ただ撮り続けた映画。夕暮れから夜にかけて、ビルの灯りがともり、消えていく以外、ほとんど何も起こらない。
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フィルムに直接絵を描き、引っかき、焦がした実験映画作家。代表作『Mothlight』(1963年)では、カメラを使わず、蛾の羽や草花を透明なテープでフィルムに貼りつけて作った。
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オートバイ乗りの若者たちとポップソングを組み合わせた『スコーピオ・ライジング』(1963年)などの実験映画作家。アレイスター・クロウリーの魔術に傾倒し、ハリウッドの醜聞を集めた本『ハリウッド・バビロン』も書いた。
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バイク乗りの若者たちの姿に、当時のポップソングとナチスやキリストの図像を重ねた短編。のちの音楽映像の編集に大きな影響を与えた。
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ハリウッドのスターたちのスキャンダルや死を集めた暴露本。まずフランスで出版された。書かれた話の多くは裏付けがないとも指摘されている。
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粘土、肉片、剥製、古い人形をコマ撮りで動かすシュルレアリストの映像作家。『アリス』(1988年)『ファウスト』などで、触覚に訴えるような不気味なアニメーションを作った。
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ルイス・キャロルの物語を、実写の少女と、剥製や古道具を動かすコマ撮りで描いた長編。白ウサギは本物の剥製で、裂けた腹からおがくずがこぼれる。
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一卵性双生児の映像作家。埃をかぶった古い人形や機械を、薄暗い光の中で動かすコマ撮りアニメーションを作る。ブルーノ・シュルツの小説による『ストリート・オブ・クロコダイル』(1986年)が代表作。
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ポーランドの作家ブルーノ・シュルツの小説をもとにした人形アニメーション。錆びたネジ、埃、壊れた人形が、薄暗い仕立て屋の中で動き出す。
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18世紀のアルメニアの詩人サヤト・ノヴァの生涯を、動く絵画のような正面向きの構図と、布、果物、本などの象徴だけで描いた映画。監督はのちにソ連当局に投獄された。
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ハンガリーの寂れた農村で、死んだはずの男の帰還に村人たちが揺れる物語を、7時間以上かけて描いた白黒映画。一つの場面を途切れずに撮る長回しが延々と続く。
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