街角には、ある年だけ現れて消えていく人々がいます。同じ服を着て、同じ場所に集まり、大人に眉をひそめられた「族」たち。そして、街そのものを観察して記録しようとした人々。路上の文化を集めました。
年代はその呼び名が広まった頃を目安にしています。呼び名の多くは、当事者ではなく新聞や雑誌が名付けたものです。
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第一部日本の族
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石原慎太郎の小説『太陽の季節』から生まれた呼び名。海辺で遊び、既成の道徳に反発する裕福な若者たちを指した。映画化の際には弟の石原裕次郎がデビューした。
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銀座のみゆき通りに集まった若者たち。アイビー・ルックの服に、紙袋や麻袋を抱えて歩いた。東京オリンピックを前に、警察が一斉に補導した。
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新宿駅東口の芝生などにたむろし、長髪で気ままに暮らした若者たち。アメリカのヒッピーに重ねて語られ、新宿がカウンターカルチャーの街になった時代を象徴する。
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新宿駅西口の地下広場に毎週末若者が集まり、反戦のフォークソングを大勢で歌った集会。数千人に膨らんだため機動隊が排除し、地下の「広場」は「通路」と呼び改められた。
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改造したオートバイや車で集団走行する若者たち。刺繍を入れた特攻服、漢字の当て字のチーム名、箱乗りなどの独特の様式が生まれ、漫画や映画の題材になった。
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電飾、鏡のような板金、絵を施して飾り立てたトラック。菅原文太主演の映画『トラック野郎』シリーズ(1975年〜1979年)で広く知られた。
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コム・デ・ギャルソンやヨウジヤマモトの黒一色の服を着た若者たち。パリで「黒の衝撃」と呼ばれたこれらのブランドとともに、街に黒い服の群れが広がった。
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原宿の歩行者天国の略。竹の子族やロックンロールを踊るローラー族のあと、1980年代後半にはアマチュアバンドの演奏の場になり、ここからデビューしたバンドもあった。
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日曜の原宿の歩行者天国で、原色の派手な衣装を着て、ラジカセのディスコ音楽に合わせて輪になって踊った若者たち。名は衣装を売っていた店「ブティック竹の子」から。
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日焼けサロンで肌を黒く焼いた渋谷のギャルたち。さらに目の周りと唇を白く塗り、髪を白や銀に脱色した極端な姿は「ヤマンバ」と呼ばれた。
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アトラスとセガが作った写真シール機「プリント倶楽部」の略。友達と撮ったシールを手帳に貼って交換する遊びが女子高生の間で爆発的に広まった。
第二部おたくと装い
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アニメや漫画の愛好者が互いを「おたく」と呼び合うことから、中森明夫が雑誌のコラム「『おたく』の研究」で呼び名として使った。のちにカタカナの「オタク」になり、世界で通じる言葉になった。
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漫画の同人誌を売り買いする即売会。1975年の第1回は約30のサークルと700人ほどの参加だったが、のちに一回に数十万人が集まる世界最大級の催しになった。
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メイドの服を着た店員が「お帰りなさいませ」と客を迎える喫茶店。秋葉原で生まれ、アニメやゲームの世界の約束事を現実の店に持ち込んだ。
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アニメやゲームの登場人物を車体いっぱいに描いたり貼ったりした車。「見ていて痛々しい」という自嘲から名が付いた。
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漫画やアニメ、ゲームの登場人物の衣装を着て、その人物になりきること。「コスチューム・プレイ」を略した言葉で、1980年代に日本で生まれたとされる。今では世界共通の言葉になった。
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アニメや漫画の舞台になった場所を、ファンが訪ねること。2007年のアニメ『らき☆すた』で鷲宮神社に多くのファンが訪れ、町おこしのきっかけとして知られるようになった。
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派手な化粧と髪型、衣装で見た目の世界観を作り込むロックバンドの流れ。X(のちのX JAPAN)の「PSYCHEDELIC VIOLENCE CRIME OF VISUAL SHOCK」という標語から名が生まれたとされる。
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黒やフリル、レースを多用し、人形のような装いをするファッション。MALICE MIZERのManaが作ったブランドなどで広まり、専門誌『ゴシック&ロリータバイブル』も生まれた。
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茨城県の下妻で、ロリータ服を着て浮きまくる少女と、ヤンキーの少女の友情を描いた映画。嶽本野ばらの小説が原作で、ロリータ服を広く知らせた。
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写真家の青木正一が原宿の若者を撮り続けたストリート・スナップの雑誌。色やおもちゃを重ねる「デコラ」など、原宿の奇抜な装いを世界に知らせた。
第三部路上を観察する
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考古学に対して、現在の風俗を記録する学問として今和次郎が唱えた。関東大震災後の東京で、通行人の服装や持ち物、バラックの形を数え、スケッチした。
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赤瀬川原平、藤森照信、南伸坊、林丈二らが作った会。トマソンや奇妙な看板、マンホールの蓋など、街角の見過ごされたものを探し歩き、写真と文章で報告した。
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上った先に扉のない階段、塗り込められた窓など、街の中で役に立たなくなったまま保存されている物件。名は、高給で迎えられながら打てなかった巨人軍の外国人選手トマソンから。
第四部海の向こうの族
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エドワード朝の紳士服をまねた丈の長い上着に、細いズボンとリーゼントの若者たち。戦後のイギリスで、若者が自分たちの服装で集団を作った最初の例とされる。
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細身のスーツにミリタリーのパーカを羽織り、飾り立てたスクーターで走った若者たち。革ジャンにオートバイのロッカーズと対立し、1964年には海辺の町で乱闘騒ぎになった。
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ザ・フーのアルバムをもとにした映画。1964年、スクーターを飾り立てたモッズの若者が、海辺の町ブライトンでロッカーズと衝突する日々を描く。
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破れた服、安全ピン、逆立てた髪で既成の音楽と社会に反抗した若者たち。マルコム・マクラーレンとヴィヴィアン・ウエストウッドの店「SEX」と、セックス・ピストルズがその中心にいた。
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ロンドンのソーホーにあったクラブ。黒い服、白い顔、逆立てた黒髪で集まった客と、そこで演奏したバンドから、のちに「ゴス」と呼ばれる装いと音楽が育った。
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黒い服、白い顔、暗い美学を好む若者の文化。ポストパンクのバンドとロンドンのクラブから育ち、ホラー映画やヴィクトリア朝の喪服の趣味を取り込んで世界に広がった。
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マルコム・マクラーレンが仕掛けたパンク・バンド。1977年、エリザベス女王の即位25周年に合わせて『ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン』を出し、放送禁止になりながらヒットした。
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わざとらしさ、過剰さ、悪趣味をこそ愛でる感覚。ソンタグの評論「《キャンプ》についてのノート」で言葉にされ、同性愛者の文化の中で育まれてきた美学として知られるようになった。
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ピエロの化粧をしたラップ・デュオ、インセイン・クラウン・ポッセのファン。同じ化粧をして毎年大きな集会を開き、ライブでは安い炭酸飲料を客席に浴びせ合う。互いを「家族」と呼ぶ強い仲間意識で知られる。
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擬人化された動物のキャラクターを愛好する人々。自分の分身となる動物のキャラクターを持ち、着ぐるみを着て大会に集まる人もいる。
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ネバダ州の砂漠に一週間だけ数万人の仮設の町を作り、最後に巨大な木の人形を燃やす催し。サンフランシスコの浜辺で人形を燃やしたことから始まった。お金のやりとりを原則として禁じている。
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コンゴ共和国やコンゴ民主共和国で、高価で色鮮やかなスーツを着こなし、街を気取って歩く男たち。貧しい暮らしの中で、装いを誇りと平和の表現にしている。
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サブカル辞典
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