言葉は、意味を運ぶための道具である前に、遊びと祈りの道具でした。死を避けて別の言葉で言い換え、仲間だけに通じる暗号をつくり、同じ音を並べて笑い、消えてしまう言葉を集めて記録する。ここでは、そうした言葉の周縁を集めました。実在する人物や地域の言葉は、差別的な用法に注意しながら書いています。
言葉の由来には諸説あるものがあります。
79語
忌み言葉と言い換え
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縁起が悪いとして、使うことを避ける言葉。結婚式で「切れる」「別れる」を避けるなど。
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言葉に宿る霊力。口にしたことが実現するという信仰で、『万葉集』にも見える。
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「死」と「苦」を連想するため、病院の部屋番号や贈答品の数から避けられる。
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「する」は「すること(損)」に通じるので、縁起を担ぐ人々は「当たり鉢」「あたり棒」と言い換えた。
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「する」を避けて、「あたりめ」と呼ぶ。
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猟師や木こりが、山の中では、別の言葉を使う習わし。熊を「ヤマオヤジ」と呼ぶなど。
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伊勢神宮で、仏教に関わる言葉を、別の言葉で言い換えた例。「経」を「染紙」、「僧」を「髪長」など。
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宮中の女官が使った隠語。「おかず」「しゃもじ」「おでん」などが、現在も残る。
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生前の実名。呼ぶことを避けた。
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直接口にすることを避ける言葉。ヨーロッパでは「熊」が、本名で呼ばれずに、「蜂蜜を食べる者」などと言い換えられた。
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死や排泄など、直接に言いにくい事柄を、間接的な言い方にする。
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仲間内にだけ通じる言葉。職業や集団ごとに、独自の言葉が生まれた。
隠語と職業のことば
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「ヤクザ」の語源は、花札の「八・九・三」(合計20で最も弱い)とされる。
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露店の商人が、商品を売るために述べる長い口上。「寅さん」でおなじみの啖呵売。
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「さあ、買った」と声を上げて、値を下げながら売る。北九州の門司港で、明治時代に始まった。
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商人が、値段や品物を客にわからないように示す、暗号。
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「あがり」はお茶、「ガリ」は生姜、「むらさき」は醤油。
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「ザギン(銀座)」のように、音を逆さにする言い方は、芸能や放送の世界で使われた。
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女子高生を中心に生まれ、短い期間で、次々に入れ替わる言葉。
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堅気。まっとうな職についている人。
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外国から入った言葉。ポルトガル語の「パン」「カルタ」、オランダ語の「ビール」など。
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「階段(apples and pears)」を「apples」と言い換えるなど、韻を踏んだ言葉を、さらに短縮する。
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演劇界や同性愛者の間で使われた隠語。二十世紀の半ばに、ラジオの番組で広まった。
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ロマ(かつてジプシーと呼ばれた)の言葉。インド起源とされる。
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北欧の古い文字。占いや魔術の文字としても知られる。
方言と土地のことば
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同じ地域の人以外には、外国語のように聞こえると言われる。「どさ」「ゆさ」だけで会話できるという。
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よそ者に会話を悟られないようにするため、わざと難しくしたという説がある。
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「ぶぶ漬けでも」に代表される、直接の物言いを避ける言葉。
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「なんでやねん」「ほんま」など、漫才を通じて、全国に広まった。
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「ばり」「〜たい」など、独特の語尾で知られる。
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「ウチナーグチ」。本土の言葉とは音の数も違い、ユネスコが消滅の危機にある言語の一つとしている。
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北海道などの先住民のアイヌの言葉。ユネスコが、消滅の危機にある言語と位置づけている。
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古い日本語の特徴を残すとされる方言。
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琉球の言葉の一つ。他の琉球語と、通じないほど異なる。
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手と表情で伝える言葉。各国ごとに異なる。
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目と耳の不自由な人に、指先に触れて言葉を伝える方法。
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島の谷を越えて会話するために、口笛で言葉を伝える。
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舌打ちのような音を子音に使う言語。コイサン語族など。
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数の言葉が少なく、過去や未来の語もほとんどないとされる言語。言語学者ダニエル・エヴェレットの研究で知られる。
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女性だけが使った文字。母から娘へ、手紙や刺繍に書かれて受け継がれた。
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平仮名の古い呼び名。男は漢字、女は仮名を使うとされた時代の名残。
回文と言葉遊び
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上から読んでも下から読んでも同じになる文。「たけやぶやけた」。
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「生麦生米生卵」のように、発音しにくい言葉を素早く繰り返す遊び。
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言葉の意味を裏返して、答えを当てさせる遊び。古くは「謎かけ」とも呼ばれた。
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同音の言葉を並べる、つまらない洒落。「布団が吹っ飛んだ」。
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各句の頭の文字を拾うと、別の言葉になる詩。伊勢物語の「かきつばた」が知られる。
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一つの音に、二つ以上の意味を重ねる。和歌で、「松」と「待つ」を重ねるなど。
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前の言葉の終わりで始まる言葉をつなぐ遊び。「ん」で終わると負け。
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文字を並べ替えて、別の言葉を作る遊び。
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特定の文字を使わないで書く遊び。ジョルジュ・ペレックは、eを使わずに小説『失踪』を書いた。
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ペレックの小説。フランス語で最もよく使う文字 e を、一度も使わずに書かれた。
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ウリポの作家。『人生 使用法』では、パリのアパートの各部屋を、決まった手順で描いた。
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ウリポの共同創設者。同じ短い話を、九十九通りの文体で書いた『文体練習』で知られる。
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ルイス・キャロルの詩。造語だらけだが、文法は通っていて、意味があるように感じさせる。
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二つの語の音を入れ替える言い間違い。オックスフォードの学者スプーナーにちなむ。
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似た音の別の語と取り違えて使う。劇のミセス・マラプロップにちなむ。
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数字にちなんだ言葉を、順に並べる歌。「一番はじめは一の宮」など。
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子どもが遊びながら歌う歌。意味が不明の言葉も多い。
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子どもが、輪になって遊ぶわらべ歌。歌詞の意味には、さまざまな解釈がある。
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「行きはよいよい、帰りはこわい」で知られるわらべ歌。
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二組に分かれ、歌いながら、人を取り合う遊び歌。
文字と書きもの
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亀の甲羅や牛の骨に刻まれた、漢字の祖形。占いの内容を記した。
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同じ文が、三つの文字で刻まれた石。ヒエログリフの解読の鍵となった。
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絵文字のような文字。シャンポリオンが、十九世紀に解読した。
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文字の形や配置で意味を伝える詩。
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日本の掲示板文化の中で、文字を組み合わせた絵。顔文字よりも大きな作品を指す。
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文字を組み合わせて表情を表す。(^_^) など。
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栗田穣崇が、携帯電話のために作った小さな絵文字が始まり。
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音や意味に合わせて、あてはめた漢字。「夜露死苦」のような、暴走族の当て字が知られる。
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暴走族などが使った当て字。「よろしく」の意味。
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「特牛(こっとい)」「小豆(あずき)」など、読み方が難しい地名。
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日本で作られた漢字。「峠」「畑」「辻」など。
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同じ意味を持つ、形の違う漢字。
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二つの字を一つにまとめた字。「麿」「〆」など。
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現在の平仮名以外の、昔の平仮名。蕎麦屋の看板に見られる。
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同じ字の繰り返しを示す記号。「々」「ゝ」「ヽ」など。
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六つの点の組み合わせで、文字を表す。ルイ・ブライユが、十九世紀に考案した。
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短点と長点の組み合わせで、文字を伝える。
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二本の旗の位置で、文字を伝える。海や軍の通信で使われた。
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