伝説や噂ではなく、地図の上に実際にある場所の目録です。死者の骨で飾られた部屋、一人の人間の執念が建てた家、誰もいなくなった町。多くはいまも訪ねることができます。
所在地と成り立ちの年代を添えています。公開の時間や条件は変わることがあるため、訪ねる前に各施設の案内を確かめてください。立ち入りが禁じられている場所もあります。
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第一部骨と死者の部屋
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墓地の礼拝堂の地下に、4万人とも7万人とも言われる人骨が納められている。1870年に木彫り職人フランティシェク・リントが骨を並べ直し、骨でできたシャンデリアや紋章を作った。
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あふれた墓地を空にするため、18世紀末から古い石切り場の地下道に遺骨が移された。およそ600万人分の頭蓋骨と大腿骨が、壁のように積み上げられている。
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サンタ・マリア・デッラ・コンチェツィオーネ教会の地下に、約3700人の修道士の骨で飾られた5つの小部屋がある。「いまのあなたは、かつてのわたしたち。いまのわたしたちは、いずれのあなた」という言葉が掲げられている。
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約8000体のミイラが、服を着たまま壁に立てかけられ、並べられている地下墓所。1920年に2歳で亡くなった少女ロザリア・ロンバルドは、いまも眠っているような姿で残っている。
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戦争や疫病で亡くなった人々の骨を集めて、地元の司祭が建てた小さな礼拝堂。壁と天井が約3000の頭蓋骨で埋め尽くされ、地下にはさらに多くの骨が眠る。
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修道士たちが、墓地から掘り出した約5000人の骨で壁と柱を覆った礼拝堂。入口には「ここにいる我ら骨は、汝らの骨を待っている」と刻まれている。
第二部執念が建てた家と庭
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ライフル銃で財を成した一族の未亡人サラ・ウィンチェスターが、亡くなるまで数十年にわたって増築を続けた屋敷。天井で行き止まる階段、開けると壁の扉などがあり、銃で死んだ者の霊から逃れるためだったという伝説が生まれた。
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貴族ヴィチーノ・オルシーニが、妻の死後に森の中に作った庭。岩を彫った巨人、竜、象、傾いた家、人が入れるほど大きな口を開けた怪物の顔が点在する。長く忘れられ、20世紀に再発見された。
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パラゴニア公が塀の上に怪物や奇形の人物、動物の像を大量に並べた別荘。1787年に訪れたゲーテは、その悪趣味ぶりを旅行記に書き残した。
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イタリア移民のタイル職人サイモン・ロディアが、たった一人で30年以上かけて建てた17の塔。鉄筋とモルタルに、割れた陶器、ガラス瓶、貝殻を埋め込んでいる。一番高い塔は30メートル近い。
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シュルレアリスムの収集家だったイギリスの富豪エドワード・ジェイムズが、メキシコの密林に建てたコンクリートの庭。どこへも行かない階段、花の形の柱、屋根のない部屋が、滝と木々の中に立っている。
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渡辺金蔵という資産家が、関東大震災のあとに自ら設計して建てた家。上っても行き止まりの梯子、節穴だらけの壁など、不可解な作りだらけだった。主人が入院したのち取り壊され、精神科医の式場隆三郎が『二笑亭綺譚』に記録を残した。
第三部日本の奇妙な場所
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硫黄の匂いが立ちこめ、岩場から火山ガスが噴き出す霊場。荒涼とした岩場は地獄に、宇曽利山湖の白い砂浜は極楽に見立てられる。夏と秋の祭りにはイタコの口寄せが行われる。
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古くから葬送の地だった化野の寺。あたりに散らばっていた無縁仏の石仏や石塔約8000体が境内に集められ、びっしりと並んでいる。夏の千灯供養では、その一つ一つにろうそくが灯される。
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化野念仏寺で毎年8月に行われる行事。境内に並ぶ数千の石仏と石塔にろうそくを灯して供養する。
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戦国武将の墓が並ぶ参道の一角に、企業の供養塔が集まっている。ロケットの形をした塔、コーヒーカップの形の碑、そして害虫駆除の業界団体が建てた「しろあり やすらかにねむれ」の碑まである。
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映画館の看板描きから転じて、生涯にわたって素朴な色つきのコンクリート像を作り続けた人。日進市の五色園には親鸞の生涯を再現した像が、犬山市の桃太郎神社には桃太郎や鬼の像が並ぶ。
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医師の亀谷了が私財で作った、世界でも珍しい寄生虫専門の博物館。人の体から出てきた長さ8.8メートルのサナダムシの標本が名物。入館は無料で、寄付で運営されている。
kiseichu.org -
海底炭鉱のために岸壁で囲まれ、高層の鉄筋アパートが林立した小さな島。最盛期には世界有数の人口密度だったが、1974年の閉山で無人になった。2015年に「明治日本の産業革命遺産」の一つとして世界遺産になった。
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淡路島に建てられた高さ100メートルの観音像。内部は展望台と博物館だったが、経営者の死後に閉鎖され、長く廃墟として海辺にそびえた。老朽化の危険から、2020年代に取り壊された。
第四部人の消えた町
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チェルノブイリ原子力発電所の職員のために作られた町。1986年4月の事故の翌日、約5万人の住民がバスで避難させられ、町はそのまま放棄された。開業直前だった遊園地の観覧車が残っている。
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チェルノブイリ原子力発電所の4号炉が爆発し、大量の放射性物質が広い範囲に飛び散った事故。発電所の職員の町だったプリピャチの住民は、翌日にバスで避難し、二度と戻れなかった。
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地下の炭層に火がつき、半世紀以上たったいまも燃え続けている町。道路の割れ目から煙が上がり、1000人以上いた住民はほぼすべて移転した。
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ギリシャ系の住民が暮らしていた丘の町。1923年のギリシャとトルコの住民交換で住人が去り、数百軒の石造りの家が屋根を失ったまま斜面に残っている。
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かつて高級リゾートとして栄えた海辺の地区。1974年の紛争で住民が逃げ出したあと、軍によって封鎖され、ホテルやマンションが半世紀近く手つかずのまま朽ちていった。2020年に一部が開放された。
第五部一人で作られた王国
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郵便配達員フェルディナン・シュヴァルが、配達の途中で拾い集めた石を使って、33年かけて一人で建てた宮殿。東洋の寺院や動物が入り混じった奇妙な建物で、シュルレアリストたちに称えられた。
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ラトビア出身のエドワード・リーズカルニンが、結婚直前に去った婚約者を思いながら、たった一人で珊瑚石灰岩を切り出して作った庭と城。1000トンを超える石をどう動かしたのかは、誰も見ていない。
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レナード・ナイトが、砂漠の丘に日干し煉瓦と藁を積み、寄付された大量のペンキを塗り重ねて作った色とりどりの山。「神は愛」という大きな文字が描かれている。
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道路検査官のネック・チャンドが、仕事の合間に、廃材、割れた陶器、電気部品を拾い集めて、森の中に密かに作り続けた人形と庭。1975年に役所に見つかったが、取り壊されずに公園として公開された。
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芸術家ニキ・ド・サン・ファールが、トスカーナの丘にタロットの大アルカナ22枚を巨大な彫刻にして並べた庭。鏡とモザイクで覆われた「女帝」の中に、作者は住みながら制作を続けた。
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ソチミルコの運河に浮かぶ小島。住んでいたフリアン・サンタナ・バレラが、溺れた少女の霊を慰めるためとして、拾った人形を数十年にわたって木々に吊るし続けた。風雨で傷んだ無数の人形がいまも残る。
第六部地獄と極楽の見世物
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軟膏「タイガーバーム」で財を成した胡文虎・胡文豹の兄弟が作った庭園。中国の神話や説話を再現した像が並び、罪人が死後に受ける「十殿閻王」の責め苦を色鮮やかに見せる一角が名高い。
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仏教の教えを伝えるため、境内に地獄の責め苦を受ける亡者の像を並べたタイの寺々。やせ細った長身の餓鬼や、鳥の頭の亡者などが、コンクリートで作られ原色に塗られている。
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湯や蒸気や泥が噴き出す別府の源泉は、古くから「地獄」と呼ばれてきた。コバルトブルーの「海地獄」、赤い「血の池地獄」、泥がぽこぽこと泡立つ「鬼石坊主地獄」などを巡ることができる。
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赤い粘土が溶け込んで、湯が赤く染まって見える温泉。日本最古の天然の地獄ともいわれる。別府の地獄のひとつとして国の名勝に指定されている。
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高さ120メートルの青銅製の阿弥陀如来の立像。田畑の向こうに突然そびえる姿は周りの風景と比べて縮尺が狂って見える。像の内部は展示施設で、胸のあたりまで上ることができる。
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バンクシーが海辺の町の廃プールに5週間だけ開いた「がっかりな遊園地」。傾いた城、無愛想な係員、事故を起こした馬車のシンデレラなど、テーマパークを皮肉る作品が並んだ。
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木彫り職人スタン・ヨアン・パトラシュが始めた、青く塗られた木の墓標が並ぶ村の墓地。故人の暮らしぶりや死に方を描いた絵と、ユーモアのある詩の墓碑銘が添えられている。
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小さな丘に、大小10万本を超える十字架やロザリオが供えられている巡礼地。ソ連時代にはブルドーザーで何度も撤去されたが、そのたびに人々が夜のうちに十字架を立て直した。
第七部取り残された建物
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どの政府の統治も及ばない場所になった小さな一角に、無計画に建て増しされた高層の建物がびっしりと詰まり、3万人以上が暮らした。昼でも日の差さない路地は、映画や漫画、ゲームの舞台として繰り返し描かれた。1990年代に取り壊された。
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105階建て、高さ330メートルの三角錐の形をした平壌のホテル。1992年に工事が止まり、コンクリートの骨組みのまま長く放置された。2011年頃に外壁のガラスが張られたが、開業していない。
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摩耶山の中腹に建つ、船のような形の旧ホテル。「軍艦ホテル」と呼ばれ、閉鎖後は廃墟として知られた。2021年に国の登録有形文化財になった。
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自動車王ヘンリー・フォードが、タイヤ用のゴムを得るためにアマゾンの密林に建てたアメリカ風の町。病害と労働者の反発で計画は失敗し、1945年に手放された。
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東ドイツ時代に開かれた遊園地。統一後に経営が行き詰まって閉園し、恐竜の像や観覧車が森の中で朽ちていった。経営者は、乗り物の部品に麻薬を隠して運ぼうとした罪で有罪になった。
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ダイヤモンドの採掘で栄えた砂漠の町。ダイヤが枯れて人が去ると、家々の中に砂丘の砂が流れ込み、部屋の半分まで砂に埋まった光景が残された。
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南イタリアの岩山の上に築かれた中世の町。地すべりのため住民が移転し、石造りの家々が崩れかけたまま丘の上に取り残された。多くの映画の撮影地になっている。
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かつて東洋一の硫黄鉱山とされた鉱山。標高約900メートルに、水洗トイレや暖房のある鉄筋コンクリートの集合住宅が建てられ、「雲上の楽園」と呼ばれた。閉山後、アパート群の廃墟が残されている。
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