カルト映画は、作られたときに決まるものではありません。公開時に無視されたり嫌われたりした映画を、少数の観客が何度も見に行き、台詞を覚え、仲間を増やしていくうちに「カルト」になります。フリークス、イレイザーヘッド、ロッキー・ホラー・ショーなどは「映画と映像」の分類に載せています。ここでは、それ以外の作品と、そういう映画を撮り続けた人々、観客の側の文化を集めました。
公開年・興行の様子は主な資料によります。残酷な描写を含む作品もあります。
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第一部深夜に育った映画
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『エル・トポ』のアレハンドロ・ホドロフスキーが久しぶりに撮った長編。サーカスで育ち、両腕を失った母の「腕」として操られる青年の物語。極彩色の悪夢のような画面で、監督の作品のなかではいちばん見やすいと言われることもある。
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ボルティモアの映画監督。友人たちと低予算で撮った悪趣味な映画、とくに『ピンク・フラミンゴ』で深夜上映の王になり、のちに『ヘアスプレー』でブロードウェイにまで届いた。「悪趣味にも良い悪趣味と悪い悪趣味がある」という立場を崩さない。
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ウォーターズ作品の看板女優を務めたドラァグクイーン。本名ハリス・グレン・ミルステッド。ディスコ歌手としてもヒットを出した。『ヘアスプレー』が公開された直後に42歳で急死した。
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五年がかりで撮った『イレイザーヘッド』で深夜上映の常連になった監督。夢の論理で進む映画を撮り続け、テレビドラマ『ツイン・ピークス』では、茶の間に同じ悪夢を持ち込んだ。
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田舎町で見つかった女子高生ローラ・パーマーの遺体から始まるテレビドラマ。赤いカーテンの部屋で小人が逆回しの言葉を話す場面などが話題になり、日本でも深夜の放送とビデオで大流行した。2017年に25年後を描く続編が作られた。
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芝生で拾った人間の耳から、平和な郊外の町の裏側に入り込んでいく青年の話。デニス・ホッパーが演じる、ガスを吸いながら暴れる男フランクが強烈な印象を残した。
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ピンク・フロイドのアルバムをもとにした、台詞のほとんどない映画。ジェラルド・スカーフのアニメーションで、行進するハンマーや、ひき肉機から出てくる子どもたちが描かれる。深夜上映の定番になった。
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ソ連から亡命した監督スラヴァ・ツッカーマンが、ニューヨークのニューウェイヴの若者を撮ったSF映画。小さな空飛ぶ円盤が、ヘロインと快楽の瞬間に出る物質を求めて人を殺していく。
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アレックス・コックス監督。ローンの払えない車を回収して回るパンクの青年が、トランクに光る何かを積んだ車を追いかける。サウンドトラックはLAのパンクバンドで固められた。
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脳外科医で物理学者でロックスターの主人公が、異次元から来た宇宙人と戦う。説明のない設定を次々に投げつけてくる作りが公開時には不評だったが、のちに熱心なファンを生んだ。
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ジョン・カーペンター監督。サングラスをかけると、広告の裏に「服従せよ」「消費せよ」という命令と、人間に化けた異星人の素顔が見える。路地裏での五分以上続く殴り合いの場面が有名。
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『ハロウィン』で低予算ホラーの型を作った監督。自分で作曲したシンセサイザーの音楽でも知られる。1982年の『遊星からの物体X』は公開時に酷評され興行でも負けたが、今では怪物映画の最高傑作の一つに数えられる。
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テリー・ギリアム監督。書類の打ち間違いで無実の男が逮捕される、官僚主義の悪夢のような未来社会の話。アメリカの配給会社が結末を明るく切り縮めようとしたため、監督は新聞広告で抗議した。
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コーエン兄弟監督。ボウリングしかしない無職の男「デュード」が、同姓の富豪と間違えられて誘拐事件に巻き込まれる。公開時の興行はふるわなかったが、台詞を唱えながら集まる「リボウスキ・フェスト」が各地で開かれるようになった。
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夢遊病の高校生のもとに、銀色のウサギの着ぐるみの男が現れ「世界はあと28日で終わる」と告げる。劇場ではほとんど見られず、DVDで繰り返し見られて謎解きの議論が盛り上がった。
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ラス・メイヤー監督。ゴーゴーダンサーの三人組がスポーツカーで砂漠を暴走する。公開時は見向きもされなかったが、のちにジョン・ウォーターズやタランティーノが熱愛を語り、再評価された。
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陸送屋の男が、白いダッジ・チャレンジャーをデンバーからサンフランシスコまで15時間で届けるという賭けをして、警察を振り切りながら走り続ける。盲目のラジオDJが彼を導く。理由の説明されない疾走が、のちの世代に崇められた。
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ポーランドの監督アンジェイ・ズラウスキーが西ベルリンで撮った映画。夫婦の破局が、妻が隠れ家で育てる得体の知れない怪物の話へ崩れていく。地下鉄の通路でイザベル・アジャーニが錯乱する長回しで知られ、英国では「ビデオ・ナスティ」に数えられた。
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トロントの映画監督。体が変形し、機械や病気と混ざり合っていく「ボディ・ホラー」を撮り続けた。『ザ・フライ』『裸のランチ』『クラッシュ』など、嫌悪と魅惑が同じ画面に並ぶ。
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小さなケーブルテレビ局の社長が、拷問だけを映す謎の電波番組に取りつかれる映画。腹に開いた裂け目にビデオテープを差し込む場面など、テレビと肉体が溶け合う映像が、のちのメディア論にまで引用された。
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東ベルリン生まれのロック歌手ヘドウィグの半生を描いたミュージカル映画。ジョン・キャメロン・ミッチェルが作・演出・主演したオフ・ブロードウェイの舞台がもと。興行は小さかったが、客席で歌う上映会が各地で続いた。
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『ロッキー・ホラー・ショー』の続編として作られた映画。町全体がテレビ局のスタジオになっているという話で、公開時はほとんど話題にならなかったが、テレビとリアリティ番組を予言した作品として見直された。
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1969年のロンドンで、売れない役者二人が田舎の別荘へ逃げ出す話。ブルース・ロビンソンの監督作。主人公が飲む酒をすべて一緒に飲むという危険な遊びが、英国の学生のあいだで語り継がれた。
第二部公開時の失敗から
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リドリー・スコット監督。酸性雨の降る2019年のロサンゼルスで、人造人間レプリカントを追う男の話。公開時はヒットせず、ナレーションと明るい結末を足した版が不評だった。ビデオで見返され、監督の意図に近い版が何度も作り直された。
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試写版、公開版、国際版、1992年のディレクターズカット、2007年のファイナル・カットなど、少なくとも七つの版がある。ユニコーンの夢の場面の有無で、主人公が人間かどうかの解釈が変わる。
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ポール・ヴァーホーヴェン監督が、ラスベガスのストリップショーを舞台に撮った大作。批評家に酷評され、その年のゴールデンラズベリー賞で7部門を受賞した。のちに、観客が掛け声を入れながら笑って見る深夜上映の定番になった。
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ヴァーホーヴェン監督。巨大な虫の異星人と戦う若者たちを、戦意高揚のニュース映画のような調子で描く。公開時は「ただの戦争賛美の娯楽作」と受け取られたが、のちにファシズムを皮肉った映画として読み直された。
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デヴィッド・フィンチャー監督。不眠症の会社員が、石鹸の行商人タイラー・ダーデンと出会い、素手で殴り合う秘密のクラブを作る。興行は期待を下回ったが、DVDで大きな人気を得た。
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ウォルター・ヒル監督。濡れ衣を着せられた不良グループが、コニーアイランドまで一晩かけて帰る。上映館で乱闘事件が起き、宣伝が一時中止された。敵のギャングの奇抜な衣装が、のちの漫画やゲームに影響した。
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デヴィッド・リンチ監督。フランク・ハーバートの長大なSF小説を2時間余りに詰め込み、批評でも興行でも失敗した。監督自身もテレビ用の長尺版から名前を外した。それでも巨大な砂虫や奇怪な衣装を愛するファンは多い。
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マイケル・チミノ監督。19世紀末のワイオミングで起きた、牧場主と移民の争いを描いた西部劇。撮影は予算も日程も大きく超え、公開後すぐに打ち切られた。記録的な赤字でユナイテッド・アーティスツの経営が傾き、監督に任せきりにする時代の終わりの象徴になった。のちに完全版が再評価されている。
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マーベルの漫画をもとに、ジョージ・ルーカスが製作総指揮をした映画。別の惑星からクリーブランドに落ちてきたアヒルが主人公。巨額の赤字を出し、長く「史上最悪の映画」の候補に挙げられてきた。
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ジョン・カーペンターが南極基地を舞台に撮ったSFホラー。人間にそっくり化ける生物と、誰が本物か分からない疑心暗鬼を描いた。同じ月に『E.T.』が公開されて興行で大敗し、批評家にも酷評されたが、ロブ・ボッティンの特殊メイクとともに再評価された。
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ジム・ヘンソンが監督し、デヴィッド・ボウイがゴブリンの王を演じたファンタジー映画。人形と美術はブライアン・フラウドの絵がもとになった。公開時は不入りだったが、ビデオで育った世代に愛され続けている。
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冷戦期のメイン州の少年と、空から落ちてきた巨大なロボットの友情を描いたアニメーション。ブラッド・バードの監督第一作。宣伝がほとんどされず興行は失敗したが、テレビ放送とビデオで評価が広がった。
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『ビーバス・アンド・バットヘッド』のマイク・ジャッジが撮った会社員の喜劇。紙詰まりばかりするプリンターを野原で叩き壊す場面が有名。劇場では当たらず、ビデオとケーブルテレビで職場の聖典になった。
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同じ名前の三人の女王蜂が支配する高校で、仲間入りした少女ヴェロニカと転校生の少年J.D.が、彼女たちを次々に殺していく黒い学園映画。ウィノナ・ライダーとクリスチャン・スレーターが主演した。明るい80年代の学園映画を裏返した作品として、ビデオで信者を増やした。
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殺人鬼マイケル・マイヤーズが一度も出てこない『ハロウィン』シリーズの三作目。ハロウィンのお面を使って子どもたちを殺そうとする玩具会社の陰謀を描く。シリーズを毎回別の話にする計画だったが、観客に拒まれて頓挫し、のちに独立した一本として見直された。
第三部ジャンルの裏通り
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黒い手袋の殺人者が美女を次々に襲う、イタリアの殺人ミステリー映画。名前は、推理小説の叢書が黄色(ジャッロ)の表紙だったことから。凝った殺しの場面と、鮮やかな色の照明が特徴。
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ジャッロを代表する監督。1977年の『サスペリア』では、ドイツのバレエ学校に潜む魔女を、赤と青の原色の照明とプログレッシブ・ロックのバンド、ゴブリンの音楽で描いた。日本では「決してひとりでは見ないでください」という宣伝文句で当たった。
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撮影監督出身の監督。1964年の『モデル連続殺人!』でジャッロの型を作った。のちのスラッシャー映画に影響した『血みどろの入江』も撮っている。
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1979年の『サンゲリア』で、水中でゾンビが鮫と戦う場面を撮った監督。『ビヨンド』など地獄の門をめぐる作品では、話の筋よりも、目玉を貫く場面のような生々しい特殊効果で知られる。
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黒人の主人公と観客のために作られた、低予算のアクションや犯罪の映画。1971年の『スウィート・スウィートバック』と『黒いジャガー』から流行した。ファンクやソウルのサウンドトラックも評価が高い。
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メルヴィン・ヴァン・ピーブルズが監督・主演・音楽を務めた自主映画。白人の警官を殴って逃げ続ける男を描き、独立系の映画として大きな興行収入を上げた。
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香港の大映画会社。広大な撮影所で、武侠映画とカンフー映画を大量に作った。『少林寺三十六房』などの作品は、のちにヒップホップのウータン・クランやタランティーノに引用された。
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清朝の役人の服を着て両手を前に伸ばし、跳ねて動く中国の死体の妖怪キョンシーの映画。1985年の『霊幻道士』が当たり、日本では台湾映画『幽幻道士』がテレビで放送されて子どもたちのあいだで大流行した。
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税制の優遇もあって量産された、オーストラリアの低予算の暴力とエロと車の映画。『マッドマックス』もこの流れから生まれた。2008年のドキュメンタリー『Not Quite Hollywood』で呼び名が広まった。
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修道院を舞台に、修道女の禁じられた欲望や拷問を描く見世物の映画。ケン・ラッセルの『肉体の悪魔』(1971年)は、17世紀フランスのルーダンで実際に起きた悪魔憑き事件をもとにしており、長く短縮版しか見られなかった。
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生涯に200本近くの映画を撮ったと言われる監督。変名を何十も使い分け、吸血鬼や女囚の低予算映画を早撮りし続けた。ズームを多用する画面と、ジャズを使った音楽が特徴。
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海辺の墓地や廃墟の城を舞台に、夢のようにゆっくり進む吸血鬼映画を撮り続けた監督。筋よりも詩情を優先したため、公開時には酷評されることが多かった。
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映画監督ジョゼ・モジカ・マリンスが自ら演じた、黒いマントとシルクハットに長い爪の葬儀屋。自分の血を継ぐ「完璧な女」を探して人を殺していく。ブラジル初のホラー映画の主人公で、国民的な怪人になった。
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途中まで撮ったアジアの映画に、白人の俳優が演じる忍者の場面を新たに撮り足して、まったく別の映画に仕立てた監督。「忍者映画」を量産し、話がつながっていない不思議な作品群が生まれた。
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ニック・ゼッドやリチャード・カーンらが、8ミリで撮った挑発的な短編映画の運動。「映画学校は燃やせ」と宣言し、暴力と性を正面から撮った。歌手のリディア・ランチもよく出演した。
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血しぶきと肉体の破壊そのものを見せ場にする映画。ハーシェル・ゴードン・ルイスの『血の祝祭日』(1963年)に始まり、特殊メイクの進歩とともに広がった。日本では1980年代のビデオブームで一気に知られた。
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のちに『ロード・オブ・ザ・リング』を撮るピーター・ジャクソンの初期作。ネズミザルに噛まれた母親からゾンビが増え、主人公が芝刈り機で立ち向かう。史上もっとも血糊を使った映画と言われる。
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スチュアート・ゴードン監督。H・P・ラヴクラフトの小説をもとに、死体をよみがえらせる蛍光緑の薬を作った医学生の暴走を描く。
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フランク・ヘネンロッター監督。籐のかごに、分離手術で切り離された奇形の双子の兄を入れて、ニューヨークの安宿に泊まる青年の話。タイムズスクエアの映画館で長く上映された。
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人を襲うトマトとの戦いを描いたパロディ映画。撮影中にヘリコプターが本当に墜落し、その場面もそのまま使われた。続編が三本作られ、アニメにもなった。
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サーカスのテントの形をした宇宙船に乗ってきた、ピエロの姿の宇宙人が、人間を綿あめに包んで集めていく。特殊効果を手がけたキオド兄弟が監督した。
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銀色の覆面のルチャ・リブレのレスラー。リングの外でも素顔を見せず、覆面のまま主演した映画は50本を超える。吸血女やミイラ、火星人と戦う低予算の怪奇映画がのちに海外で発掘され、深夜の上映会で笑いと喝采を浴びた。
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作家クライヴ・バーカーが自作の小説を自ら監督した映画。からくり箱を開けると、快楽と苦痛の区別をなくした異界の存在「セノバイト」が現れる。頭に釘を打ち込まれたピンヘッドが、ホラーの新しい顔になった。
第四部日本のカルト映画
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『スター・ウォーズ』の日本公開前に、東映が深作欣二を監督に急いで作った宇宙活劇。『南総里見八犬伝』を下敷きにし、帆船の形の宇宙船が宇宙を進む。ヴィック・モローも出演した。
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佐々木浩久監督、高橋洋脚本。連続殺人犯の家族を描くサスペンスが、途中から超能力、カンフー、ミュージカルへと脱線していく。Jホラーの作り手たちが遊び半分で作った怪作。
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井口昇監督。弟を殺され片腕を失った女子高生が、腕にマシンガンを付けて復讐する。はじめからアメリカのDVD市場を狙って作られ、海外で人気を得た。
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視聴者から投稿された「心霊映像」を集めたという体裁のビデオシリーズ。初期の演出を中村義洋が手がけ、100巻を超えて続いている。フェイク・ドキュメンタリーの日本での原点の一つ。
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劇場で公開せず、レンタルビデオ店向けに作られた映画。東映の「Vシネマ」が名前を広めた。低予算で撮影期間も短かったが、三池崇史、黒沢清など、のちの映画監督が腕を磨く場になった。
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フェイク・ドキュメンタリーを得意とする映画監督。『ノロイ』(2005年)は、行方不明になった怪奇実話作家の取材映像という体裁で作られた。『オカルト』『コワすぎ!』シリーズなど、熱心な観客に支えられている。
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瀬々敬久監督のピンク映画。出会った男を殺してしまう女を、冬の荒れた水辺の風景のなかに撮った。成人映画館で公開されたが、のちに海外の映画祭で評価された。
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声を出したり、ペンライトを振ったりしながら映画を見る上映。アニメ映画『KING OF PRISM by PrettyRhythm』で観客がスクリーンに向かって叫ぶ上映が評判になり、各地に広がった。
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池袋の名画座・文芸坐(のち新文芸坐)の、終電から始発まで続けて映画を上映する興行。邦画の特集や怪獣映画の一挙上映などに、映画好きが夜通し集まった。
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松本俊夫監督。夢野久作の「読むと気が狂う」と言われた小説を映画にした。精神病院で目覚めた記憶のない青年に、桂枝雀が演じる博士が延々と語りかける。
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石井輝男監督の「異常性愛路線」の一本。刺青師たちの対決を、拷問と見世物の場面でつないでいく。長く国内では見る機会が少なく、海外の映画祭やソフトで評価が高まった。
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映画監督・俳優。8ミリ映画と自主制作の芝居から出発し、体が金属に侵されていく男を描いた『鉄男』(1989年)で、ローマの国際ファンタスティック映画祭のグランプリを取った。監督・脚本・撮影・美術・出演を一人で兼ねることが多い。
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特撮と怪獣を愛する映画監督。まじめな顔で撮られた馬鹿馬鹿しい映画を作り続けている。
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プロレスラーが体の半分イカの姿になって戦う河崎実の映画。題名とポスターだけで話題になり、『かにゴールキーパー』『コアラ課長』などの続く路線を開いた。
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篠原とおるの劇画をもとに、伊藤俊也が監督した東映の映画。梶芽衣子が演じる無口な女囚・松島ナミの復讐を、回り舞台のような大胆な演出で描いた。主題歌「怨み節」とともに、クエンティン・タランティーノら海外の監督にも愛された。
第五部観客の儀式
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画面に歌詞の字幕を出し、観客が一緒に歌う上映。1999年にロンドンで始まった『サウンド・オブ・ミュージック』の上映では、観客が修道女やナチスの扮装をして集まった。
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映画『ビッグ・リボウスキ』のファンが、登場人物の扮装をしてボウリング場に集まる祭り。ケンタッキー州ルイビルで始まり、各地に広がった。
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テレビ番組『ミステリー・サイエンス・シアター3000』の出演者が始めた、映画に合わせて流すツッコミの音声。映画館での生中継も行い、駄作を皆で笑う文化を広げた。
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劇場で見逃された映画、劇場にかからなかった映画が、ビデオ店の棚で見つけられた。手書きのおすすめカードを頼りに、多くのカルト映画がここで観客と出会った。
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封切りを終えた旧作を、二本立てなどで安く上映する映画館。特集上映で埋もれた作品を掘り起こし、カルト映画の観客を育てた。
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ホラー映画の専門誌。特殊メイクの舞台裏や血まみれのスチール写真を大きく載せ、ビデオ時代のホラーファンを育てた。休刊を経て、いまも刊行されている。
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炭鉱の閉じた町が、町おこしに始めたホラー・SF・ファンタジーの映画祭。雪の中で監督と観客が同じ飲み屋で夜を明かす気安さで知られた。夕張市の財政破綻で一度中止になり、市民の手で復活した。
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テキサス州オースティンで生まれた映画館チェーン。席で食事と酒を出し、上映中の私語や携帯電話には厳しい。カルト映画の特集や、観客参加型の上映を数多く企画してきた。
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